サブスク管理の必要性

『入退社で生じるサブスク管理の課題』


第1回では、サブスクリプションには「契約条件の複雑さ」と「数量変動の柔軟性」という特徴があるとお伝えしました。 一見、数量を柔軟に変えられることはメリットに思えますが、実務の現場ではこれが大きな負担となっています。

第2回では、入退社で生じるサブスク管理の課題について具体的に解説していきます。 例えば、ある部門で3月31日に3名が退職し、入れ替わりで4月1日に3名が入社するケースを考えてみましょう。
部署全体の人数に増減はありません。 もしこれが椅子のような「モノ」であれば、退職者が使っていた椅子を新しい入社者が引き継げば済むため、追加のコストも手間もかかりません。 しかし、実体を持たないサブスクリプションツールでは、単純な「使い回し」ができない特有の事情があります。

退職する3名と入社する3名のプロフィールを見てみましょう。退職する3名は、それぞれ管理職、デザイナー、営業職だとします。 彼らは職種によって異なるツールを利用しています。
 A:全員が使うオフィスツール
 B:デザイナーが使うクリエイティブツール
 C:営業が使う名刺管理ツール

一方、入社する3名は、2名がオフィスツールのみを使うアシスタント、1名がデザイナーだとします。 ここで注目したいのは、利用数が変わらないオフィスツール(A)です。 一見、退職者3名と入社者3名でプラマイゼロなので、何もしなくても良いように思えますよね。 しかし、実務上は「何もしない」わけにはいかない理由があるのです。


SaaSには必ずアカウントの設定が必要です。
退職者のアカウントはセキュリティ上の理由から削除しなくてはなりませんし、入社者のアカウントは新しく作成する必要があります。 退職と入社がほぼ同時に行われるため、3月31日にアカウントを削除し、4月1日に新しいアカウントを作成する、といったスムーズな運用は困難です。 さらに、退職者のアカウントは退職日まで利用されるため、その期間は利用中の状態です。
新しく入社する3人分のアカウントは事前に準備する必要があるため、一時的に合計で6アカウント(既存3+新規3)となり、コストが二重に発生します。 サブスクリプションは、コストの合理性を追求して数量を増減させるべきものです。

しかし、このような人事異動が発生するたびに、アカウントの削除や新規作成を繰り返さなければならず、担当者の業務負荷は非常に重くなります。 また、ツールによっては「最低契約期間」や「解約申請の期限」といった付帯条件が設定されていることも、管理をより複雑にしています。 こうした多様な条件を把握し、適切に運用するのは、もはや人手だけでは限界があります。

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